
面白かったです。サンシャイン劇場。
私のうっかりのせいで『メタルマクベス』と日程がかぶってしまったのですが、そっちを友人に引き取ってもらってこっちを観に行ってきました。
脚本家(牧瀬里穂)とTV局のプロデューサー(渡部建)、と、脚本家のマネージャー(彼女の夫)、と、強盗、のお話です。
脚本家とTV局のプロデューサーが脚本家とTV局のプロデューサーの恋の話を作る過程で脚本家とTV局のプロデューサーが恋の話を作るために恋に落ちようと努力する話が内包されて脚本家とTV局のプロデューサーは実際に恋に落ちる、というような。劇中劇中劇、というような。
「私と恋に落ちて!」という唐突な理不尽ではじまって、
「僕と恋に落ちてください!」というハッピーエンドで終わる。
かと、思いきや、
ラスト、めでたく恋に落ちたハッピーなふたりを(彼女を)狙って夫が銃をかまえる格好までふくめた三角関係のまま幕が閉じました。
いいな!
私こういうの好きよ!
↑上記の台詞のバックには「今世界と音信不通で上の空〜♪♪」って歌が流れるんですけど、まさしくその瞬間に彼女は“世界と音信不通”になっていて、夫が彼女を殺そうとすることに気づいてないみたいです。
清原なつのの漫画で、小説家志望の女の子が「私、もう嘘はつかないわ。原稿用紙の中に一生分の嘘をとじこめるわ」(うろ覚え☆)とかなんとか恋人に口走って、第三者が「嘘をつかないなんて大嘘をいけしゃあしゃあとつけるなんて」(うろ覚え☆)ってショックを受ける場面があったんですけども、ついそれを連想してしまいました。
夫は、妻が、“名作を書くためになら”、“嘘の世界にほんとうをとじこめるためになら”、彼女の恋が現実世界に入り込もうと満足だったけれど、彼女が嘘の世界=夫との奇妙な恋愛生活(たぶん、結婚生活、ではない)を捨てて、リアルに恋に落ちることは許せないのです。
ドラマを作るために利用されたプロデューサーこそが彼女にとってはリアルであり、マネージャーという役割を担い彼女の企みに加担していた実際には結婚している夫がじつは原稿用紙の中の人間だったのかな、と。
脚本家の彼女はずっとそれを承知でいて距離を保つべく努めていて、なのに、彼女自身が恋に足下をすくわれたとたん、“世界と音信不通”になってしまった。
恋は、唐突で理不尽で、得体がしれなくて、ハッピーでありアンハッピーなものなのね、というのが感想です★