
この作者のお話は、つねにモテない京大生が悶々と屁理屈をこねまわして妄想して遠回りをするんですが(とりあえず今まで読んだのはぜんぶそう)、またかよー、とか、おんなじじゃーーん、とかは思わないんです。
その小難しげに語り飛ばす屁理屈と反比例する情けない行動をこそ読みたい。
そしてこの本は、それこそ同じことの繰り返し。ちょっとずつ条件を変えたパラレルワールドで、つねに主人公は同じ境遇で悶々としています。しかし上手い。深い。ラストは気持ち良くて、わー青春!て気分にならないこともありません。
小説を読む醍醐味は、ストーリーがいちばんではなくて、文体とか構成とか過程とかにあるんです。きっと。